カシミールで今何が起こっているの?現状と背景

2019/09/04
ニュースカテゴリー:インド情報

「地上の楽園」とも呼ばれているカシミール。近年はH2トラベルズがこの地域への日本人旅行者増加に力を入れて来ましたが、生憎現在のヒンドゥー至上主義政党が与党となって政権を握ってからインドへ対してのデモやストライキが多発し、観光客の訪問にはかなり慎重にならなければいけなくなりました。

「地上の楽園」カシミール
「地上の楽園」カシミール

その、カシミール、何故この様なごたごたがあるの?何が問題なの?

まずは背景をかなり簡単に説明します。

イスラム教徒が大多数の中、藩王はヒンドゥー教だった

1947年にインドがイギリスから独立する際、並行してインドとパキスタンが宗教対立の結果、分離するが決定しました。その際、カシミールは、インドに属するのか、それともパキスタンに属するか、ギリギリまで決まりませんでした。

緑が美しい州スリナガル
緑が美しい州スリナガル

パキスタン側の主張からすれば、カシミールは住民の大多数がイスラム教徒なんだから、パキスタン側に所属するべきだ、という理論でインド側への所属を認めません。

対するインドは、藩王はマイノリティーのヒンドゥー教徒であり、そして最終的には、この藩王がインド側に所属する意思を示しました。

インドとパキスタンが現在でも仲が悪いのもこのカシミールが大きな要因となっているのです。現に、インドが主張する国境とパキスタンが主張する国境はカシミールではっきり異なっています。

カシミールの一部は当時より武力鎮圧によってパキスタン領となり、その地域は現在ではアザード・カシミールと呼ばれています。

独立後約40年間は比較的平和だった

カシミールが4度にわたる印パ戦争の舞台にもなったものの、インドはカシミールに対して自治権を与え、そのためか住民のインドへ対する抵抗はあまり見られませんでした。

イスラム過激派の台頭

1989年に、パキスタンによって支援されていたアフガニスタンで当時対ソ連に戦っていたムジャヒッディーンと呼ばれるイスラム過激派が、インド側のカシミールに侵入し、現地の貧困層の若者を中心に集めてインドによる「支配」に対して武力抵抗する様呼びかけました。

それにより、元々代々暮らしていたカシミールのヒンドゥー教徒も危険を察知し他の地へ移住し、インド軍や警察に対してのテロ行為が頻繁になり、外国人観光客も拉致されてしまう事件も発生しました。

観光収入が重要な産業であったカシミールはこの長年のテロ活動によって大打撃。しばらくは不安定な情勢が続きます。

2010年代から治安回復

暗黒の90年代、00年代を経て、2010年頃からテロ活動が激減し、治安が回復したことから外国人観光客も増加しました。ヨーロッパ諸国ではカシミールに対して注意喚起を除外し、日本の外務省も2010年代初頭にスリナガルとその周辺等観光地を限定して危険度を下げました。

2011年にインドの現地法人として創立したH2トラベルズはまだ日本人にとっても新鮮な旅行先であったこの地を開拓し、翌年2012年から幼児連れを含めて多くの日本人観光客をご案内しました。そして、お客様の中からはインドの旅行先の中でも最も平均的に満足度の高いフィードバックを頂戴しました。理由は、景観の美しさがトップ。

スリナガルのナギーン湖
スリナガルのナギーン湖

2016年後半から闇が戻る

カシミールの観光産業が復活し、地域が活性したと思えば今度は2014年にインドでヒンドゥー至上主義政党が与党となり、公に出してはしていませんが基本的に「反イスラム主義」でもあります(インドではヒンドゥー教とイスラム教は昔から関係がギクシャクしています)。

今でも現役中の首相はもともとインド西部にあるグジャラート州の州知事でした。2002年に同州でマイノリティーであるイスラム教徒がヒンドゥー教徒によって数千人が虐殺されるという事件が一か月以上にわたり発生し、州警察も虐殺現場の前で見殺しにしていた事でかなり国際的に批判を浴びました。首相になる前は、アメリカを始め、ヨーロッパ諸国へ入国禁止になるほど。

そして2016年7月にカシミールの過激派トップがインドによって暗殺されたのをきっかけにインド政府に対してデモが発生すると、インド軍はペレット銃を使用した武力で住民に発砲をし死者を出し、更にデモが拡大して同じ強硬姿勢でインドは対応するなどして悪循環に見舞われました。

「テロ防止」のためにカシミールのインターネットや電話は断続的に切断される様に。観光産業はまた打撃です。

そして、今年2019年のインド総選挙で現政権が再選するとに更に政府は強硬路線に突入しました。

自治権破棄

2019年8月、遂に憲法370条に約束されていたカシミールの自治権を破棄しました。これにより、カシミールは10月末以降よりインド中央政府の連邦直轄地になる予定。自治権を破棄されるとはどういう事か。

今まで、カシミールでは州内の住民のみ土地の所有が認められましたが、連邦直轄地になる事によってインド各地から移民者が増えるのでは無いかと懸念されています。そうなる事によって、カシミール人の人口比率が低くなったり、不平等な職の分配によって貧富の格差が広がる可能性があります。

再選されたばかりなのであと5年間は続くと見込まれる現政権。この自治権破棄には当たり前ながらカシミール人は反発し、まだ混乱は続きそうです。

その中、治安回復を望み、一日でも早く旅行者を案内できるようにしたいですね。カシミールにとっても、観光業がほぼ「唯一」の産業である以上、旅行者が安心して訪問できるようにするのが政府の役目でしょう。

2019年9月時点では弊社ではカシミール旅行手配を中断させて頂いておりますが、本当に美しいところです。弊社サイトのモデルプランには写真を多く使用しているので、どんなに魅力的な場所であるか、お解り頂けるかと存じます。またすぐに情勢が復活するのを願いながら。。。

H2トラベルズのカシミール旅行のご案内サイト:
https://www.h2travels.com/india/kashmir/

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